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電力各社の設備認定保留を受けて太陽光発電の市場を解説

2014年9月25日九州電力が再生可能エネルギーの買取を中止!

と、大きくセンセーショナルにマスコミ各社が報道しました。
そして、すぐに日にちをおかず、北海道電力、東北電力、四国電力、沖縄電力と電力会社合計5社が、同様の措置を取りました(電力会社によっては50kW以上の高圧に限定している会社もあります)。また、同時に今設備認定待ちの申請案件すべてが稼動すると標準的な家庭一件あたりの再生可能エネルギー賦課金の額が年間10,000円を超えると報道され、すぐに経済産業省総合資源エネルギー調査会が全量買取制度の運用を見直す協議に入っています。
新規買取中止=設備認定の保留は、非常に大きな動揺を市場に与え、さまざまな誤解を生んでいます。また2014年10月21日には、九州電力が回答保留を一時部分的に解除する発表をしています。ここでは、この一連のいわゆる九電ショックについて詳しく解説したいと思います。

さまざまな情報に振り回されないでください。


つぎの方には、まったく影響がありませんので、ご注意ください。 また、全量買取制度の適用を受けた場合は買取期間は「買取が中断」になることはありません。

これは、すでに固定価格買取制度が行き詰まり、一家庭あたりの再生可能エネルギー負担金が月額1,000円を超えて、市場が縮小しているドイツなどの環境先進国の例でも証明されています。ドイツは、日本より先に固定価格買取制度が運用され、ものすごい勢いで太陽光発電が普及したのち、賦課金の増大から制度自体が変更になって、現在に至りますが、すでに制度の適用を受けた案件が、買取期間内に買取拒否をされたことはありません。
制度の適用を受けているのに、買取が拒否されることは、完全に詐欺になります。(ただし、年間最大30日間は拒否することができると定められています。のちほどお伝えします。)

  • 10kW未満のすべての住宅用太陽光発電
  • すでに稼動している産業用太陽光発電
  • すでに設備認定を受けている産業用太陽光発電

上記方については、今回の一連の騒動はまったく関係ありませんので、不安に思われないでください。マスコミが買取中止と報道するので、太陽光発電で作られた電力の買取が中止になるかと誤解される方が多いのですが、そうではなくて、きちんと買取ができるように、新規の発電所建設を抑制しているだけのことです。
また、これは産業用太陽光発電に限ったことであり、住宅用はまったく関係ありません。現在建設されている太陽光発電の80%以上が産業用であり、住宅用はわずか10数%にすぎないため、全体に与える影響が小さいためです。
さらに、住宅用太陽光発電の固定価格買取制度の適用は、余剰電力のため、家庭自体への影響も少ないということができます。

逆に今回の騒動で影響を受けるのは、対象は次の方たちです。
上記電力5社管轄内の設備認定前の産業用太陽光発電で、今設備認定申請をあげている案件今後設備認定申請をあげる案件になります。


※※年度内導入を検討の方へ※※
2016年度(平成28年度)買取価格の適用を受けての太陽光発電導入は、すでに受付を終了しました。今後検討される方については、2017年度以降の固定価格買取制度が適用となります。どう検討していけばよいか、下記ページをご覧頂けるとスムースですので、ご参照ください。



買い取り中止に至った背景

2012年7月にスタートした再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、再生可能エネルギーによって発電された電力を電力会社が固定価格で一定期間買い取ることを約束したものです。今回は、産業用太陽光発電に絞って解説しますが、固定価格買取期間は20年で買取価格は、「設備認定を受けたタイミングベース」で次のような条件です。
設備認定を受けた年 2012年度 2013年度 2014年度
買取価格 40円(税別)/kWh 36円(税別)/kWh 32円(税別)/kWh

通常一般家庭が購入する電気というのは、1kWhあたり24~5円程度であるので、その差額は、再生可能エネルギー賦課金という形になって電力を使用する人が、使用量に比例して負担することになっており、2014年現在で大体1家庭あたり月間200円程度といわれています。
このとおり、非常に高価に発電した電力を買い取ってもらえることから、全国各地に太陽光発電所が一気に普及しました。固定価格買取制度は、再生可能エネルギー全般に適用されるのですが、太陽光発電以外の再生可能エネルギーは、時間とコストがかかるため、太陽光発電に投資が集中したわけです。
この固定価格買取制度は、設備認定を受けたタイミングの価格が適用されるため、各年度末には、とりあえず設備認定を受けようと申請が殺到することになりました。結果、2012年度に設備認定を受けた案件は、太陽光発電システムの価格相場が下がってから建設しようとする業者たちがいて、設備認定の割りに実稼動が少なかったため、多くの案件が取り消し処分を受け、2014年度からは設備認定を受けてから半年以内に実際の発電所建設に着手することが定められました。
また、太陽電池の価格も急速に下がったことから2013年度、2014年度とどんどん太陽光発電は普及していくことになります。※ここでいう普及というのは、設備認定量を差します。実稼動については、まったく別の次元になります。
その結果、常に設備認定した量と実稼動の間に大きな乖離が発生しながら、認定量はどんどん増えていくことになったのです。
電力会社としては、設備認定をした案件については、固定価格買取制度にのっとり、発電した電力を全量買い取る必要があります。
そのため、稼働率は低いものの、設備認定した案件すべてが稼動した場合の想定をしながら、対応をする必要があるわけです。そして、ついには設備認定した容量が、電力会社が供給できる電力網の能力に近づくから危険と判断される日が来たのです。それが2014年9月というわけです。

各電力会社の設備認定容量と供給力 各電力会社の設備認定量推移

出典:ソーラーパートナーズブログより転載


上記図グラフをご覧ください。上から書く電力会社の設備認定した容量と電力会社の供給量を表したグラフと、各電力会社の設備認定量と実稼動容量の推移を表現したものです。確かにグラフを見ると今回新規買取中止をした電力会社は、供給能力と設備認定容量が逼迫しているのがわかります。
ただし、ここで注意してほしいのが、供給能力とは何かということです。供給能力というのは、電気のニーズ全量ではありません。電気は、現状蓄電されたものが供給されるのではなく、常に発電したものが供給される仕組みになています。
つまり、蓄電能力が極めて小さく、常の作られては消費されるようになっているのです。
またエリアに区切って需要と供給を電力会社がコントロールしています。そいった複雑な仕組みがあるため、例えばもっとも発電量が多い5月くらいの晴天の日に太陽光発電が一斉に電力を作り出して供給しだすと、市場でそのときの需要を超えて発電してしまう可能性があるわけです。そうなると電気はスムースに電力網を流れることができなくなるため、トラブルがおこるというのです。そのリスクを避けるために、今回の措置がとられたわけです。
これは決して電力の需要を太陽光発電が満たしているといことではないことに注意が必要です。
このまますべての設備認定案件が稼動したとしても、電力需要全体における再生可能エネルギーの割合は、全需要の20%程度にしかならないといわれています。※ただし、この全需要の20%を再生可能エネルギーで満たすということは、日本の再生可能エネルギー政策上は、2020年達成予定の数値です。
このことから、今後の対策はいろいろと協議されていますが、作られた電気を広範囲で融通しあったり、蓄電機能を拡張するなど対策をすることで受け入れ余地は大きくなることが想定されます。

太陽光発電運営者側からみた問題点

今回の問題点は、急遽設備認定を中止したことがあげられます。通常のビジネスで考えると、太陽光発電所を建設しようと思ったら、まずは設備認定を受けて、しっかりと「出口」を固めた上で、土地や資材を集めたりします。
しかし、現在太陽光発電ブームで用地の仕入れ合戦が行われたり、制度がきちんと運用されている安心感から、設備認定を受けていないのに、土地や資材を発注した案件が多く発生しました。これらの案件ではすでにお金が動いているため、万が一その後設備申請を受けることができないなんてことになると、大きな損失を被ることになります。
しかも、設備認定を受ける前に事前協議を電力会社としていて、電力会社の担当から「いけるだろう」といわれていたりした日には、電力会社に対してものすごく強い抗議をしたくなるのはわかります。このように、現状太陽光発電の新規設備認定を受けられない状況は、すでに「動きはじめている」人に対して実損害を与えており、さらに「今後参入しようと計画していた」人たちに対して、機会ロスを実害として与えることになったわけです。


ただし、先にもお伝えしましたが、すでに設備認定を受けている人にとっては、まったく関係がありません。設備認定を受けている人は、予定通りのスケジュールで稼動すれば、電力は全量売電することができます。また、すでに稼動している人にも影響を与えません。これまで通り、全量電力は買い取ってもらうことが可能です。
ただし、これまで通り免責条項がありまして、今回の「接続拒否」ももともと想定されていたことですが、実は買取拒否自由といものもあります。これは、最大で年間30日までは、電力の安定供給に支障をきたすおそれがある場合には、電力会社が買取を拒否できるものです。詳しくは、要件をまとめてあるも資料を下に掲載しておきます。

買取拒否自由

出典:スマートジャパンHPより

今後どうなるかを検証する

2014年10月21日九州電力は、プレスリリースで一部接続申請の保留を解除したと発表しました。対象は50kW未満の低圧案件ですでに接続申請が済んだもののうち、分割型ではない案件です。分割型というのは、ほぼ同一敷地内の複数に分かれた太陽光発電設備で実質的にメガソーラーのような案件のことです。これは、設備申請が来ている案件のうち、一定割合が一ヶ月の間で取り消しがなされて、電力網の能力に余裕が出来る見通しが立ったことを意味しています。今後もどんどん申請が来ているもののうち、稼動しないことが決定する案件が増えてくることが想定されますので、その場合は、空きの容量が増えることになり、結果、すでに接続申請をあげているもの等優先順位が高いものから、認定がなされていくことと考えられます。

しかし、抜本的な解決にはしばらく時間を要することが考えられるため、年度内は電力5社管内で再び新規接続を募集するのは考えにくいと思ってよいでしょう。さらに、問題なのは来年度以降の全量買取制度の方向性です。国の政策としてはまだまだ再生可能エネルギー比率は高めていく必要があるのは間違いないため、全量買取制度自体はなくならないことが想定されます。※ここでいう「なくなる」「なくならない」はあくまでも新規接続のことを差します。

けれど、こと産業用太陽光発電については、大幅に買取価格が下落すると考えてよいでしょう。なぜなら、どうしても発電する時間帯が日中に限られるからです。一方で、住宅用太陽発電も買い取り価格は今より下がりますが、それでも産業用よりは高い価格で買い取ってくれるようになるでしょう。少なくともいえることは、今後も太陽光発電は推進されますが、国からの優遇措置は大幅になくなっていくということです。日本の再生可能エネルギー比率は、全体のエネルギー量に対して、現状わずか4%程度です。
現在設備認定を受けている太陽光発電がすべて稼動しても20%です。しかも2012年度の稼働率を考えると、実際に稼動する案件は半分くらいなのが積の山なので、せいぜい10%程度にしかなりません。一方で、化石燃料が底をつくことは見えています。また原子力発電所も使用済み核燃料の廃棄方法がいまだに見つからない状態にあるわけなので、積極的に推進していくことは難しいでしょう。そう考えると再生可能エネルギーの必要性は非常に高いということができるので、今後も普及に向けた動きに変わりはないでしょう。

再生可能エネルギー普及率

出典:日本経済新聞紙面より


しかし、少なくとも発電が日中だけに限られる太陽光発電は、比重がいやおうなく落とされると考えられます。そのため、もし太陽光発電投資を検討している方がいらっしゃいましたら、確実に年度内に設備認定を受けられることをおススメします。
繰り返しになりますが、今回の件は設備認定を受けている方にはまったく影響のないことです。「買取が中止になる」という大きな誤解が不安を生んでいますが、そんなことは決してありません。再生可能エネルギー先進国のドイツでは、再生可能エネルギー賦課金の一家庭あたりの負担額は、月額2,000円を超えています。そう考えるとまだまだ日本は制度自体も電力網も改善の余地があるといってよいでしょう。過度に不安になるのではなく、今こそチャンスという気持ちで、状況を正確に見極めてよい判断をされることをおススメします。
ぜひ、当サイトの以下当カテゴリ内産業用太陽光発電についての解説をご覧ください。

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