2016(平成28)年度の固定価格買取制度の概要
固定価格買取制度が実施されてから、早くも4年が経過して、買い取り価格も大きく変化してきました。特に2015年度は、産業用を中心として太陽光発電のさまざまな問題点が生じてきた結果、優遇の度合いも大きく低下してきました。
また、固定価格買取制度(FIT)自体も大きく見直しがかかっており、太陽光発電の運用については大きな転機となる一年になりそうです。(太陽光発電を取り巻くさまざまな情勢についてやFITの制度改正の具体的な内容については別項で詳細に解説します)
まずは、総論として昨年2015年度から今年度2016年度を比べて、買い取り価格の推移としては、特に産業用で大きく下落しているように感じます。実際に下げ幅は、住宅用で2円/kWh、産業用で3円/kWhとなっています。しかし、産業用太陽光発電の場合は、昨年度買取価格優遇措置期間(2012年7月からの3年間の利潤配慮期間=いわゆるプレミアム期間)の終了に伴い、2015年7月1日に2円下落していることから、2015年度の初頭から考えると5円/kWhの大きな下げ幅となったということができます。
もちろん、全体として太陽光発電設備自体の価格が下落していることから、この買取価格で運用したとしても、投資として利益を出すことはできると思いますが、過去を振り返って比較した際の「うまみ」は、大きく減少していると思います。
ここまでくると、もはや資金の運用先として無理して太陽光発電でなくてもよいという風に考えるようになる人がいるのも仕方ないことですが、それでも仮に、投資費用に対する運用利回りが10パーセントを超えるようであるならば、ぜひ検討してみるとよいと思います。
というのも、マイナス金利が実装されている現在において、資金が市場にあふれ出しており、安定的に利回りを大きく稼げる投資先が他にはないから、ということができると思います。
一方で、住宅用太陽光発電についても、価格は下落しましたが、産業用に比べると下落幅が緩やかで、そもそも10kW未満という小規模な発電設備である住宅用太陽光発電については、そもそも固定価格買取制度における買取電力自体も余剰電力と限られているのもあり、十分メリットのある価格で落ち着いた感はあります。
個人的な意見ではありますが、政府としても電力供給体制にあまり影響のない住宅用太陽光発電については、今後も継続的に普及させていきたい意向であると思っています。実際に、今は市場動向として、余剰電力の売電による利益ではなくて、自家使用による節電効果、電力の自給自足というメリットを全面的に押し出して、住宅用太陽光発電は拡販されているように感じます。
そして、2016年度は、電力の自由化とともに蓄電池の普及元年ともいわれており、今後は電力を電力会社から買うのではなく、自分たちで調達するものであるという考えが普及していくとも思います。蓄電池は、その性能を大幅に改良されながら、普及レベルの価格に下落しつつあるため、こちらの動向も併せて見据えないといけない状態になっているように思います。
ということで、前置きが長くなりましたが、2016年度の固定価格買取制度における太陽光発電の売電価格についてみていきましょう。
※※年度内導入を検討の方へ※※
2016年度(平成28年度)買取価格の適用を受けての太陽光発電導入は、すでに受付を終了しました。今後検討される方については、2017年度以降の固定価格買取制度が適用となります。どう検討していけばよいか、下記ページをご覧頂けるとスムースですので、ご参照ください。
2016年の買取価格まとめ
産業用太陽光発電 | 平成27年度(4/1~6/30) | 平成27年度(7/1~3/31) | 平成28年度 |
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売電価格(買い取り価格) | 29円/kWh(税別) | 27円/kWh(税別) | 24円/kWh(税別) |
買い取り期間 | 20年間 | 20年間 | 20年間 |
住宅用太陽光発電 | 平成27年度(4/1~6/30) | 平成27年度(7/1~3/31) | 平成28年度 |
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売電価格(買い取り価格) ※東京電力、中部電力、関西電力管内 | 33円/kWh(税別) | 33円/kWh(税別) | 31円/kWh(税別) |
売電価格(買い取り価格) ※北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力 | 35円/kWh(税別) | 35円/kWh(税別) | 33円/kWh(税別) |
買い取り期間 | 10年間 | 10年間 | 10年間 |
※昨年に引き続き、電力会社の運用によって買取価格が変動する仕組みになっていますので、以下の点にご注意ください。北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力では、出力制御対応機器の導入が義務づけられている関係から、買い取り価格が高く設定されております。一方で、東京電力、関西電力では、出力制御対応機器の導入は義務化していなため、価格が若干低めになっています。逆に、東京電力、関西電力管内で、出力制御対応機能をつけたとしても、買い取り価格は変わりませんので、注意が必要です。
新買い取り価格を受けてどう判断すべきか?
では、この変更を受けて、何を考え、どう判断すればよいのでしょうか。冒頭でも少しお話しましたが、確かに昨年、あるいはもっと以前に比べると買取価格は、かなり下がりました。太陽光発電導入支援補助金もなくなりましたし、地方の補助金も減額傾向にあります。もっと前に導入しておけばメリットが大きかったけれど、メリットが減った今、導入する意味はないと考える方もあるかもしれません。
しかし、私たちが考えるべきなのは、「過去どうなのか」ではなくて「これからどうすべきか」という点です。世の中にはたくさんの投資があり、有効にお金を増やす方法はいくらでもあります。でも、手堅く年利10%の利回りを稼げる手法が他にあるでしょうか。正直、ないわけではないと思いますが、ほとんどないと思います。そうした場合に、利回りはよくて魅力的だけれど、過去よりも条件が悪いから導入しないというのはおかしな話です。
一方で、例えば山梨県の北杜市では、メガソーラーが大量に建設されて、地域住民と対立する自体が発生しています。メガソーラーによって山林が伐採され、景観が乱れ、土砂災害の危険性が増し、隣家の敷地すぐにソーラーパネルがある。
この北杜市のように、社会的な問題をはらむ場合は、いくら利回りがよいとしても、投資としてお金を出すことはしないほうがよいでしょう。なぜなら、原理原則に反する投資は、目先の利回りがよくても長期的には損になることが多いからです。(例えば、近隣住民と裁判になって余分なお金がかかって、利回り10%ではあわなくなるなど。)
このような問題がない限りにおいては、しっかりとあなたの設置予定場所で、シミュレーションをして、十分なメリットを得られると思われるのでしたら、太陽光発電を導入するのがよいでしょう。逆に、売電価格が下落したことにより、十分な利回りが得られないようだったら、導入は見合わせたほうがよいでしょう。
太陽光発電の買取価格が下落している一方で、初期導入費用も下がっていますので、今検討されている方は、ぜひ以下のページを参照されて、導入するかどうか判断して頂けたらと思います。
→簡易版・必ず確認すべき3ステップ
すでにお話しましたが、住宅用太陽光発電については、自家消費の要素が非常に大きいので、しっかりと目的を明確化して、導入検討をされてください。
→太陽光発電を設置する目的は何ですか?参照ください。
そのためには、当サイトは非常にあなたのためになると私は信じています。
太陽光の設備認定と電力売電権利をお売り下さい。
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2016年度(平成28)における売電価格(買取価格)はいくら?|太陽光発電アドバイザー公式情報サイト関連ページ
- 2017年度(平成29年度)売電価格は?
- 固定価格買取制度が実施されて5年が経過する2017年度(平成29年度)、太陽光発電の売電価格は、一体いくらになるのでしょうか。検証しました。
- 2016年度申請期限
- 平成28年度(2016年度)の固定価格買取制度における売電価格の適用を受けるための、設備認定の申請期限が確定しましたので、お伝えします。