クーリングオフをはじめとした太陽光発電の設置に関する消費者保護制度
- 太陽光発電を導入したけれど、販売店の説明に虚偽があった!
- 思っていたような発電量を確保できなかった!
- 工事してみたら雨漏りなどトラブルが多発した!
これらの理由から太陽光発電の設置後、クーリングオフはできるのか?
そういう声が消費者センターに届いているようなので、ここで詳細に解説したいと思います。
実は、太陽光発電に限らず日本の消費者は、
法律によってかなり手厚く保護されています。
基本的に情報量が多く強い立場にある販売者側と、
情報量が少なく騙され易い弱い立場にある消費者という構造で、
消費者は法律によっていろいろ守られているわけです。
クーリングオフは、そのうちの一つの制度に過ぎず、
特定商取引法に基づく保護措置の一環です。
ここでは、クーリングオフにとどまらず、さまざまな法律による
消費者保護の概要を解説したいと思います。
各ケースによって、次の3つの法律によって守られます。
※※年度内導入を検討の方へ※※
2016年度(平成28年度)買取価格の適用を受けての太陽光発電導入は、すでに受付を終了しました。今後検討される方については、2017年度以降の固定価格買取制度が適用となります。どう検討していけばよいか、下記ページをご覧頂けるとスムースですので、ご参照ください。
- 消費者契約法
- 特定商取引法
- 製造物責任法
それぞれの内容を見て生きたいと思います。
消費者契約法
消費者契約法とは、消費者と事業者と間の情報の量・質・交渉能力の差を勘案して、一定の条件に合致すれば、消費者が契約を取り消すことができたり、
消費者に不利な特約を無効としたりできる法律です。
太陽光発電の場合は、次のような場合に適用されることが想定できます。
事業者が不適切な勧誘をする場合
以下のような場合には、消費者は仮に設置後であっても、太陽光発電導入の契約を「取り消し」することができることになります。
※取り消しとは、「キャンセル=やっぱりやめた」とは異なり、「なかったことになる」ということで、
完全無条件で契約の前の状態=白紙状態に戻すことができることを言います。
- 重要事項について事実とは異なることを告げていた場合
- 将来における不確定な情報を断定的な判断として提供する
- 重要な事項について、消費者の利益になることを伝えながら、不利益になるような事実を故意に伝えないこと
- 消費者の住居等で勧誘している状況において、消費者が帰るように伝えているのにも関わらず、帰らず契約に至った場合
- 勧誘している場所から消費者が帰ると伝えているのに帰さないで契約になった場合
消費者に一方的に不利な特約が結ばれる場合
次のような場合は、契約内容のうちの一部が無効になります。お互い合意の上で契約していたとしても、契約条項が消費者にとって一方的に不利になる場合、
その「契約自体」は活かされますが、「該当の契約条項」は無効となるというものです。
- 事業者の債務不履行によって消費者が被った損害に対する賠償責任を免除する条項
- 事業者の故意または重大な過失によって消費者が被った損害に対する賠償責任を免除する条項
- 目的物に隠れた瑕疵がある場合に、事業者の瑕疵担保責任のすべてを免除する条項
基本的に「業者の責任」を逃れる条項が無効となるような定めになっています。
ただし、契約した事業者が存続していることが前提となりますので、
万が一倒産していたり免責状態になっていたら泣き寝入りするしかなくなります。
なぜなら、責任を履行する存在がなくなるからです。
特定商取引法
特定商取引法とは、「訪問販売」や「通信販売」、「電話勧誘販売」など、消費者トラブルが過去多く発生した取引について、該当販売方法を選択する事業者が守るべきルールと、
その販売方法から消費者を守るルールが定められたものです。
太陽光発電の場合、通信販売はあまり想定できないので、「訪問販売」と「電話勧誘」が
特定商取引法に該当することになります。
クーリングオフは、この特定商取引法によって定められた制度になります。
訪問販売・電話勧誘のルール
- 勧誘をする前に、「会社名」「勧誘目的であること」「商品の種類」を告げなければならない
- 消費者に勧誘を受ける意思があるかどうかを確認するように努めなければならず、消費者が契約を締結しない意思を示した場合、それ以上勧誘を続けてはいけない
- 契約の申し込みを受けたとき、契約を締結したときには、定められた事項を記載した書面を交付しなければならない
- 契約締結後8日以内は、消費者は無条件で契約の解除を行うことができるクーリングオフ制度が適応される
クーリングオフの要件
クーリングオフとは、消費者が契約について冷静に考えることができるよう、契約締結後8日間は、契約を無条件で白紙にすることができる制度です。
クーリングオフが適用されるには、次の要件を満たすことが必要です。
- 特定商取引法が定める販売方法であること
- 申し込み・契約の対象が政令による指定商品、権利・サービスであること
- 申し込み書面・契約書面を受け取ってから8日以内であること
- 適用除外に該当しないこと
民法における瑕疵担保責任・製造物責任法
民法における瑕疵担保責任は、欠陥工事があった場合施工店・販売店が損害賠償責任を負うことを定めたものです。
瑕疵=欠陥があった場合、商品の引渡しから1年以内であれば、
その瑕疵を保証し、賠償を責任することが定められています。
また、契約そのものは瑕疵を知ってから1年存続する権利となります。
製造物責任法は、商品が欠陥品だったり消費者に損害を与えたりした場合に、
その賠償を定めたものです。
最初にあげたケースはどう適用されるのでしょうか?
- 太陽光発電を導入したけれど、販売店の説明に虚偽があった! 販売店の説明に虚偽があるので、その内容によりますが、
- 思っていたような発電量を確保できなかった! 「思っていた発電量」が何を元に「思っていたのか」にもよります。
- 工事してみたら雨漏りなどトラブルが多発した! 完全に瑕疵担保責任の範疇なので、施工店・販売店が、
重要な事項なのであれば、消費者契約法に該当します。
クーリングオフではありませんが、設置後であっても販売店が責任能力を有していれば、
契約を解除=取り消しすることができる可能性が高くなります。
例えば、販売店が本来の何倍も多く発電するような誇大な成果を断定していたとすれば、
これも消費者契約法によって契約を解除できる可能性はあります。
また、製品の欠陥で本来の発電量を得られていないのであれば、
製造物責任法によって、メーカーが無償で修理することになるでしょう。
逆に、「思っていた発電量」が消費者の「思い込み」なのであれば、
それはどうすることもできないということになると思います。
無償で補修した上で、損害賠償を支払うことが必要になります。
最後は自己責任!
以上のとおり、消費者は法律によって守られてはいますが、最終的に販売店や施工店が倒産したり、夜逃げしたりすれば、
何か問題があったとしても、消費者が損害を間逃れることはできません。
そういう背景から、やはり最後は消費者の自己責任の部分は大きく残されるので、
太陽光発電の導入は慎重を期すべきといくことができるでしょう。
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