産業用太陽光発電設置の方は必見!減価償却についての解説です。
産業用太陽光発電は、太陽電池モジュールを中心とした機器一式を導入することで電気を作り、売電することで収益を生む事業です。設備投資をして、設備を管理することで、収益を生み出しているわけです。そうなると、設備は資産となりますので、そこで支払った初期費用は、経費として計上することができます。経費は利益から控除して、申告することで、支払うべき税金を削減することができます。
ただし、導入費用は最低でも数百万円、多ければ数億円単位で投資することが必要になるため、安価な設備のように一括で経費計上することはできません。法律で定められた「耐用年数」期間に分割して経費計上する必要があります。それが、減価償却という考え方です。
※太陽光発電の場合は、事業用の場合の耐用年数は、一般的には17年となっています。(耐用年数省令別表第2の31電気業用設備 の中のその他の設備 の中の主として金属製のものに該当します。)
※ただし、発電した電力を何に使うかによっても同じ太陽光発電とはいえ、分類性質が変わってきますので、耐用年数はかわってくることになるので注意が必要です。→太陽光発電の耐用年数は?|太陽光発電アドバイザー公式情報サイトを参照ください。
ここでは、産業用で太陽光発電を設置する場合の減価償却について解説します。
※ただし、私は税理士ではありませんので、最終的には自己責任で情報利用して頂くことをお願いします。また、サラリーマンの方で住宅用の太陽光発電を設置されている方で、確定申告をされない方は、基本的に減価償却は関係ありません。詳しくは、太陽光発電の確定申告でご確認ください。
※※年度内導入を検討の方へ※※
2016年度(平成28年度)買取価格の適用を受けての太陽光発電導入は、すでに受付を終了しました。今後検討される方については、2017年度以降の固定価格買取制度が適用となります。どう検討していけばよいか、下記ページをご覧頂けるとスムースですので、ご参照ください。
そもそも減価償却とは何か?
減価償却とは、国税庁のHPに次のように書かれています。
事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。他方、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません。 減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです。この使用可能期間に当たるものとして法定耐用年数が財務省令の別表に定められています。減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続です。
(注)
1 使用可能期間が1年未満のもの又は取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。
2 取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができます。
3 一定の要件を満たす青色申告者が、平成18年4月1日から平成26年3月31日までに取得した取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産(上記(注2)の適用を受けるものを除きます。)については、一定の要件の下でその取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額をその業務の用に供した年分の必要経費に算入できるという特例があります。
4 取得価額の判定に際し、消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。すなわち、税込経理であれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。なお、免税事業者の経理方式は税込経理になります。
つまり、10万円以上で法定耐用年数が1年以上の資産を定められた年数=法定耐用年数で、経費として計上することと、ということができると思います。当然、太陽光発電は経年によって価値が減る資産なので、減価償却の対象ということができるでしょう。
どんな人が減価償却をが必要になるか?
そもそも太陽光発電を導入している人や法人は、次のように分類することができます。
- 太陽光発電を目的として事業として行っている
- 事業を行っている人が太陽光発電を設置して売電収入を得ている
- 家で住宅用で太陽光発電を導入して余剰電力を売電しているサラリーマン
このうち、減価償却する必要性があり、意味がある人は、1.2.に該当する人になります。
何年で減価償却するか?
償却資産は、法定耐用年数で減価償却することができます。太陽光発電は、先にもお伝えしたとおり、「電気業用設備」の「その他の設備」の「主として金属製のもの」になるので、耐用年数は17年となります。つまり、太陽光発電の導入費用を17で割った金額を毎年経費として計上することができるということです。
ただし、太陽光発電を導入するのにかかった費用はまとめて減価償却してよいですが、土地の取得費用や造成費、フェンス代や地目の変更代などその他の経費は、別途で考える必要があります。減価償却の方法は、ここでは簡易に初期費用を17年で割った1年分を毎年経費として計上するという、「定額法」という計算方法を採用していますが、実は減価償却の方法は次の2種類があります。
- 定額法
- 定率法
定額法は、毎年同じ「額」(だから定額!)を耐用年数期間にわたって計上していくことを意味しています。(わかりやすいように初期費用を17で割った額と表しましたが、小数点の絡みもあるため、正確には、耐用年数ごとに税法で定められた償却率という係数を使って導きますが、基本的な考え方は同じです。)
定率法は、毎年の残存価値の中から一定割合(だから定率!)を耐用年数期間にわたって経費として計上していく計算方式のことを意味しています。
定額法は毎年経費として落とせる額が同一なのに対して、定率法は最初のほうは償却する額が大きくて、その後は年々小さくなる方式となっています。そのため、現在では主に定額法を使う方が多く、定率法は年数の経過と共に著しく価値が低下していくような設備機器に適した方式として、採用されています。当初に減価償却できる額が大きいということは、直近の利益が大きい事業者にとってもよいやり方ということができるでしょう。※このグラフを見ると違いがわかりやすいと思います。
出典:http://homepage3.nifty.com/domex/business/yogo_syoukyaku_2.html【例】
例えば、50kWの太陽光発電を2,000万円で導入したとします。
そのうち土地の取得代が200万円、地目の変更代が20万円、フェンスの設置代金が80万円だったとします。
そうすると太陽光発電は、1,700万円ということになるので、1,700万円 ÷ 17 = 100万円 が毎年の減価償却費になります。
その他のものは、土地の取得代は経費として参入できず、地目の変更代は、全額経費とすることができます。
またフェンスは、別途法定耐用年数で減価償却する必要があります。
※フェンスの種類などによって耐用年数が異なります。下記サイトで調べられます。
https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34353.php
※実際には償却する係数を掛け合わせて減価償却費は求められますが、概要を概念的に理解するために、あえて上記のような事例を説明していますので、あしからずご了承ください。
グリーンと投資減税について
太陽光発電は、グリーン投資減税の対象となっているので、一定の条件を満たせば適用を受けて、優遇を受けることができます。グリーン投資減税とは、正式名称をエネルギー環境負荷低減推進税制といい、再生可能エネルギーの普及に寄与した経費について、税制的な優遇措置を講じることをいいます。※詳しいことは、グリーン投資減税で節税のページをご覧ください。
グリーン投資減税の内容
1.取得額の100%または30%を前倒しで減価償却することができるというものです。17年間トータルで考えると全体的な税金の減額にはなりませんが、100%即時償却するか30%特別償却することで、課税の繰り延べ効果を利用することができ、資金回収を早める効果があります。つまり、導入年度に一気に償却して単年の税金支払いを少なくすることができるということです。
※経営上キャッシュフローは非常に重要になるため、税金の総支払額は変わらなくても、直近の支払額を減らすことによりキャッシュを有効に使えるため非常に有利ということができます。
※併せて太陽光発電の即時償却もご参照ください。
2.税額控除(資本金1億円未満の大企業子会社を除く法人と個人に適用)
取得価格の7パーセントを税金から控除することができるというものです。
純粋に節税効果が見込めるものですが、法人税額(個人の場合は事業所得税)の20%以内となっています。
グリーン投資減税の対象の条件
【対象者】
青色申告書を提出する個人または法人
※売電収益を事業所得としている場合に限ります。
【適用期間】
・100%即時償却
平成25年4月~平成27年3月31日までに導入した方
・30%特別償却または税額控除
平成25年4月~平成28年3月31日までに導入した方
【適用条件】
- 適用期間内に取得し、取得日から1年以内に事業所得を得ること
- 全量買取制度の適用をうけていること
- 10kW以上の産業用太陽光発電であること
詳しくは、販売店や税理士さんなどに確認してみてください。
また、直接税務署に問い合わせても説明してくれると思います。
いずれにせよ、産業用太陽光発電を導入するのに「付随」してくるメリットになります。減価償却やグリーン投資減税は、あくまでもサブの目的になりますので、きちんと導入の目的などは別途確認していただき、シミュレーションの上導入可否の判断をしていただけたら幸いです。
住宅用の太陽光発電については、簡易版・必ず確認すべき3ステップを、10kW以上の産業用太陽光発電については、産業用太陽光発電で絶対成功する秘訣か10kW以上の太陽光発電システムを導入するを、併せてご確認されるようお勧めいたします。
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